こころの病気と向き合う|精神疾患・精神病のお話

うつ病って何?精神の病気を指す言葉には「精神障害」「精神疾患」「精神病」「精神異常」これら4つの単語が使われることが多いです。しかし、言葉が似ていることから、同じような意味と誤解され、一括りで使用されることが多々あります。

これら4つの単語は全て意味が異なる別の言葉で、その意味を知ることは非常に大切なことです。

ちなみに精神科で扱いっている症状は「精神障害」「精神疾患」「精神病」です。精神科=精神異常の人が通うという認識も間違っています。

では、それぞれにどういった違いがあり、どのような定義付けがされているのか紹介します。

精神障害の定義

「障害」という言葉を含んでいるため、使用する際は注意が必要です。
社会的・個人的に「障害」と捉えられ、本人が苦痛に感じ、周りが不自由な思いすることが精神障害に分類されます。
教育・福祉・社会、それぞれの面からサポートが必要な状態です。
厚生労働省でも「継続的に日常生活、又は社会生活に相当な制限を受ける状態のもの」と定義しています。

精神疾患の定義

精神疾患は精神障害の中で治療方法があるものを指します。
具体的には医学(投薬)による治療や心理学的治療(カウンセリング)などが挙げられます。
今は精神障害に分類されていたとしても、医学の進歩により原因や発症のメカニズム、お薬による治療が可能になった症状は精神疾患と呼ばれるようになる可能性があります。

精神病の定義

精神疾患の中でも「治療」を必要とする症状・状態のことを指します。主な種類としては統合失調症、うつ病、自律神経失調症、心身症、不安神経症、外傷後ストレス障害(PTSD)などがあります。
これらの症状の中でも社会的立場、個人的な財産・名誉を失くしてしまう怖れのある「双極性障害」。突発的な自殺の可能性がある「うつ病」は非常に危険であるということから治療の必要がある精神病に分類されています。

精神異常の定義

良くも悪くも平均値から外れたレベルであれば「精神異常」と呼ばれます。
IQ(知能指数)で例えた場合は低すぎると認知症や発達障害とされ、高すぎると天才と言われますが同じ精神異常に分類されます。
このように必ずしも悪い状態だけを指すわけではないため、治療が不要な場合もあります。
異常な性的嗜好をもった人物のことを指すこともありますが、こういった場合は治療そのものが困難と言われています。

精神疾患の患者数の推移

1996年には約218万人だった精神疾患の患者数は2005年には300万人を越え、2011年は約320万人と患者数は増加傾向にあります。
増加の原因はうつ病(双極性障害を含む気分障害)、次いで認知症の患者数の増加によるものです。
全体の比率としては統合失調症の患者数も多いですが患者数そのものはほぼ横ばいで近年の増加の原因とは無関係です。
精神疾患による入院患者数は逆にゆるやかな減少傾向にあります。これは入院せずともお薬や通院によって治療できるようになったため、という見解があります。

精神疾患の発症原因はひとつではない

通勤途中の一般人精神疾患の発症原因に関しては、遺伝や育て方が原因という考え方もあるようです。その全てが間違いとは言えませんが誤解と言わざるを得ません。発症の原因はひとつではなく、複数の要因が重なることだと言われており、大きな要因に関しては以下の3点です。

1.遺伝による体質、外傷による原因(生物学的要因)
2.生活習慣による影響(社会・家庭環境要因)
3.ストレス(心因的要因)

病状によって、これらの要因の比重は異なります。特定の症状においては個人の性格が精神疾患の発症に関係している可能性があるとも考えられています。

精神疾患、精神病の種類

代表的な精神疾患・精神病を紹介します。病名や症状は聞いたことはあるけど、詳しくは知らない、といったものが多いのではないでしょうか。

未だに精神医学では精神疾患の定義や名称、判断基準が統一されておらず、同じ症状でも名称が異なることがあります。

精神病・精神疾患の3つの治療方法

薬・カプセル基本的には「薬物療法」「精神療法」「環境調整法」があり、この3つの治療法を患者さんに合わせて複合的に治療することが多いです。薬物療法は字の通り、お薬を使った治療です。近年の研究の成果により精神病・精神疾患の原因に脳内の神経伝達物質の働きが影響している、ということが分かってきました。その神経伝達物質の働きをお薬によって調整し、症状を緩和・改善します。

精神療法とは患者さんの話をよく聞いた上で、専門知識を活かし、その患者さんに合わせた方法で症状を改善させます。時間はかかりますが薬物療法と同程度の効果があるとも言われています。

最後の環境調整法はこころの病気の原因となるストレスを軽減するための治療法です。生活環境や患者さんと取り巻く人間関係を整え、ストレスを溜めにくい状況を作ります。この治療法に関しては何よりも家族や友人など周りの協力が必要不可欠です。

精神疾患の治療のゴールは?

精神疾患の治療現場においてのゴールとして、完治ではなく寛解(かんかい)という言葉がよく用いられます。寛解というのは、統合失調症やうつ病の症状が一定のレベル(日常生活を送れる状態)まで回復することを言います。
何故、完治ではなく寛解という言葉を使い一旦のゴールとするのか…それは、精神疾患・精神病は再発しやすく、発症の明確なメカニズムや原因も未だにハッキリしていないため、
何をもって「完全」に治ったかという線引きができないためです。

うつ病に限って述べるのであれば、全体の7割が寛解に至り、治療の開始から約6~12週間で寛解に至るそうです。残りの3割は現在の方法では非常に治療が難しい「難治性のうつ病」と分類されます。
寛解後も3~6ヶ月間は再発防止のための治療が引き続き行われます。経過が順調であれば、お薬の量を徐々に減らし、最終的には服用しなくて済むようにもなります。

精神疾患の治療費について

病院精神疾患により「治療」が必要だと判断された場合は健康保険(医療費)の自己負担分を軽減する制度があります。

対象となる疾患は、統合失調症、うつ病、双極性障害、不安障害、薬物などによる急性中毒や依存症、てんかんなどです。

ただし、医療費の軽減には範囲があり、精神疾患・精神病の症状に対する入院以外の治療費に適用されます。具体的には、外来、外来投薬、訪問看護などです。

医療費の軽減を受けるには各市町村で申請を行う必要があります。
申請の際には、医師の診断書、自立支援医療(精神通院)支給認定申請書、世帯の所得の状況等が確認できる資料、健康保険証(写しなど)も必要となります。各自治体によって、必要な書類や申請方法が異なることもあるため、精神保健福祉センターや担当課へ問い合わせてみると良いでしょう。

うつ病はこころの病気

双極性障害の症状